史上最強 それは武を学ぶものが目指す究極の称号 幾千幾万の者が己の生涯をかけて挑み 幾千幾万の者が夢半ばに散っていく 幾千幾万の者が後世に想いを託し 幾千幾万の者が想いを継いでいく 武とは 戦う術 守る術 己を磨く術など多種多様にして幾つもの道程がある どの道を選ぶか どの道が正しいのか 人の歴史の中で最強と呼ばれた者と同じ道ならばたどりつけるのか 誰もが悩み誰もが選択してきた数々の道 その中でも 最も険しい道を駆け抜け……真っ直ぐに落ちていった者がいた これは 史上最強の称号を与えられた一人の青年の物語である 史上最強の教師 ケンイチ!! 第四話『老人と達人と……眼鏡子さん?』 あれから愛衣の後についていくこと数十分、兼一は校舎らしき建物へと案内された。 (あ〜、何ていうか……このまま帰っちゃ駄目かな?) などと弱気さ爆発な発言を内心で思っているが、しかたのないことかもしれない。 なぜなら、麻帆良学園の学園都市と言う異名は伊達ではない。 建物に着くまでの途中の経路で、あまりの学園の大きさに兼一は不安になったのだ。 少し前に考えたファンタジーな想像がリアルになりかねない、そんなのは嫌だとか、 梁山泊の面々+αと行った某テーマパークよりも広すぎる!と思っていたり。 そして、建物の入ってから兼一はかなり大きな気配を二つ感じて更に胃まで痛くなったのだ。 「あっ、ここが学園長室です」 「……だろうね」 愛衣に案内された場所、それは建物の中に入ってから兼一が気配を感じていた部屋の扉だった。 兼一の呟きのような声が聞こえなかったのか、愛衣は扉をノックして了解の言を受けてその扉を開く。 愛衣が扉を開けつつ部屋の中に入ったので兼一からは部屋の中が廊下から良く見えた。 中に居たのは、頭部が異様に長い仙人のような老人と、スーツ姿でズボンのポケットに両手を入れた眼鏡の男性。 後はクールな感じの眼鏡をかけた美人さんだった。 (お爺さんの方は愛衣さんとかと同じ魔法使いっぽい感じがする。 あっちの男の人は……達人級か。しかもあの構えは……。 女の人は……秘書さんっぽいけど、この人も達人級……) 達人級(マスタークラス) ある一定のレベルを超えた武術の達人を呼ぶときに用いられることが多い。 達人級の武術家一人で武装したマフィアや小規模の軍隊程度なら、壊滅させることが可能であると言えば凄さの一端が伝わることだろう。 ちなみに梁山泊の師匠方は全員最上位の達人級である。 秘書さん 偉い人にはセットでついてくる、色々と雑務をこなしてくれる職業の方。 大抵の場合、美人で知的なお姉さんと相場は決まっている。 漫画や小説の場合は、それこそ宇宙意思(作者の意思)によってその設定は確定事項だ。 「うん? どうしたのかね白浜兼一君。ガンドルフィーニ君から連絡は来ておるよ。 遠慮せずに入って来なされ」 好々爺然とした口調で近衛老が兼一を誘う。 それに対して兼一は、 「……そちらの方が、ポケットから手を出してくるなら」 眼鏡の男性、タカミチを確りと見据えてそう言った。 「ほぅ……っと、初対面なのにすまないね。 僕はタカミチ・T・高畑、ガンドルフィーニさんと同じ、この学園の教師をやっているんだ。 よろしく」 「こ、こちらこそ不躾にすみません! ただ、この部屋の中で臨戦態勢の貴方相手は大変だな〜と思ったので」 一瞬感心したあと、ニコニコと微笑みながら自己紹介をするタカミチ。 兼一も安心したのか慌てながら謝罪をする。 その返答を聞くと、近衛老とタカミチの顔に驚きの表情が浮かぶ。 (ふむ、これは一本取られてしまったのうタカミチくん) (……ええ、まさか構えだけで僕の技を見切られるとは思いませんでしたよ) 一瞬二人の視線が交わり、タカミチと近衛老の間で念話による会話がなされた。 彼らが驚いたのは当然であろう。タカミチの技は、自然体から繰り出される最高峰の愚技。 初見で見切ることはほぼ不可能であり、ましてや構えで見切るなどありないことだ。 相手がソレの使い手だと知っているならともかく……。 「まずは自己紹介じゃな。わしはこの麻帆良学園で学園長をやっておる近衛近右衛門じゃ。 愛衣君は自己紹介が終わっておるようじゃな。 タカミチ君については先ほどの通り。そして、そこに居る眼鏡の美人が刀子君じゃ」 「はじめまして」 物静かに、端的な物言いで頭を下げる刀子。 それに対して兼一も頭を下げて挨拶をした。 挨拶も終わり、コホンと咳を一つしてから近衛老が話を始める。 「さて、兼一くん。先ほど言ったようにガンドルフィーニ君から君については聞いておる。 じゃが、君自身から詳しく此処にきた経緯を聞きたいんじゃが良いかのう?」 「えっ、あ、はい。実は――」 梁山泊で修行中であったこと、師匠の作った特訓器具を使用していたこと。 特訓中に気を失って、気がついたら森の中だったことなどを途中どもりながら話す兼一。 ちなみに、どもったのは師匠方について説明しようかどうか迷って止めたためだ。 「ふむ、大体の経緯はわかった。では今度はわしらの番じゃな。 実は君が来るまでにわしの方でも色々と調べさせておってのう、刀子君」 近衛老はそういうと、美人の秘書さんへと視線を向けて頷く。 刀子もそれに頷くと、手に持ったモバイルを操作しつつ優雅に話し始めた。 「では、僭越ながら報告させていただきます。私が調べた結果ですが、梁山泊と呼ばれる道場は日本には存在しませんでした。 それと白浜兼一さん、貴方のことを調べさせていただいたのですが……貴方に関する表裏の情報全てが白紙でした。 戸籍も何もない。つまり、貴方はこの世界には存在しないということになります」 事務的且つ端的に、兼一がこの世界の者ではないと言う根拠を上げていく。 それを聞いても表面上は何の変化も見せない兼一だが、内心では―― (パンパカパ〜ン、白浜兼一は存在しなかった……って、冗談じゃないよ!) ――何時もどおりテンパっていた。 ……もっとも、刀子の言った上記の根拠は、兼一が彼らに情報を与えないほどの使い手であるのなら話は変わってくる。 そのため、近衛老を始め。タカミチも刀子も兼一の一挙手一投足を確りと観察しているのだ。 ……ああ早々、愛衣は兼一の後ろで真面目な顔でぼ〜っとしていることをお知らせしておこう。 「と言うことじゃ。時間が限られていたとはいえわしらの情報網で調べ切れない君の存在は有り得ないんじゃよ。 そこで、わしが考え付いた可能性を話すとしよう。 君は、我々魔法使いでも未だ成し得ない平行世界への移動をしたと思われる」 「平行世界……パラレルワールドのことですよね?」 「一般の人々にはその方がわかりやすいかのう。見たところ君は魔法使いではなさそうじゃし」 裏の世界とは関わりがあるのは間違いないんじゃがな、と近衛老は心の中で続けた。 長い年月を積み重ねた近衛老の眼力をもってしても見抜けない兼一の素性。 平行世界から〜と言うのも根拠のない話ではないが断定する要素がないことも事実である。 「へっ? 確かにボクは魔法使いではないですけど……」 「じゃろう? 魔力も一般人と変わらないぐらいしか感じられんし。 ……しかし、平行世界への移動を可能とする装置を開発するとは君の師匠はよほどの天才らしいのう」 (もしかしたら"天才"超鈴音以上かもしれんのう) などと、孫のクラスに居る問題児の一人について考えながら近衛老は話を続ける。 「さて、仮説を立ててみたものの仮説はあくまでも仮説にすぎん。 そこでじゃ、兼一君はこれからどうするか当てはあるのかのう?」 「う〜ん、そうですねぇ。貴方方が言うとおりボクが異世界に来ているとして、 今のところボクに帰る手段はないですし、自力で帰る目処も立ちません。 なんで、師匠が迎えに来てくれるのを待つぐらいしか……ないんですよねぇ」 兼一もどうしたもんかと言った具合に頭をかく。 心の中では自力で帰れない訳だから後で何をやらされるやら……と無理難題を言われる未来の自分を考えて恐怖していた。 ……外見上は悲壮感を感じさせない辺り彼の成長が……見られるだろうか。 (さてさて、どうしたもんか? 彼を野放しにするわけにもいかんし……) 兼一が再び考え込んでいる間に、念話を始める近衛老たち。 (いっその事、監視をつけて此処に置いたらどうでしょうか? 彼なら警備員もこなせるでしょうし、三日後から新学期も始まるので臨時の教師として置いておくのも手です) (僕もそれが良いと思いますよ……何ならネギ君とワンセットにしてみたらどうですか? 今年度は僕も忙しくなりそうなんで副担任として手伝えそうにないですし。 それにネギ君には……ナギさんのように人を引き付ける魅力があります) 刀子のかなり無茶な案にタカミチも賛成の意を示す。 が、普通素性がはっきりしない人物を教師などと言う職業につけようとするだろうか? いろいろと問題がありそうな気がしないでもない。 (う〜む、できればネギ君にはこれ以上負担はかけたくないんじゃがのう。 ただでさえあのクラスは、君ぐらいしか適任がおらんぐらいパワフルなクラスなわけじゃし) (大丈夫ですよ。兼一君ならきっとネギ君の良い補佐役になると思います) 何を根拠にか、タカミチはそう念話で言い切った。 渋っていた近衛老もしかたなしと判断して早速兼一にその旨をつたえることにした。 「兼一君、迎えが来るのを待つのなら此処に留まるほうがよかろう?」 じゃから、家で働かんかねと続けようとが、兼一がすぐに反応したためその言葉を飲み込むことになった。 「えっ、た、確かにそうですね。まぁ、滞在許可さえもらえれば此処には、良さげな山があるんで何とかなりますよ」 そして、兼一は近衛老の考えをはるかに上回るボケを発揮した。 耳にタコができそうだが、兼一の居た梁山泊は普通ではないのだ。 今までの修行、特訓で彼のサバイバル技術はどこぞの密林で生活する原住民の方々クラスにまで達している。 春の山の中で暮らすことなど容易なことなのだ。 「な、なんじゃとー! いや、待ちたまえ兼一君。山の中には熊が居たりと危ないんじゃが……」 「えっ、熊ですか……。う〜ん、熊とは相性が悪いからな〜。動物虐待もしたくないし……」 兼一の脳裏に始めて熊に襲われた時のことや、アラスカで体長3mを越すグリズリーの群れに囲まれた時のことが思い出された。 (……まあ、熊ならまだマシだよね。鮫とかワニの方が危なかったし。 と言うよりも、映画に出てくるような馬鹿げたサイズ相手に戦えって言う方が無茶なんだよ!!) しかも、それ以上にデンジャラスだった時のことが思い出されて頭痛が走ったのは彼だけの内緒だ。 何気に師匠方に対して文句なども思っていたりする。 「そ、そうじゃろう? いや、そうじゃ! ……と言うわけで兼一君。此処で臨時の教師なんぞいかがかな?」 「へっ? いかがかな、って。ど、どう言う話の流れでそうなったんですか!?」 兼一の疑問ももっともだろう。 何がと言うわけなのかを問いただしたいし、何故にいきなり教師なのかとっても知りたい。 「……まあ、ぶっちゃけるとじゃな。わしらとしても君ほどの戦闘能力を持った輩を野放しにしたくないんじゃよ。 そう言うわけで、君が元の世界へ帰るまでこちらでも監視しやすいように雇うという形にしたいんじゃ」 と、兼一の心の叫びが届いたのか、近衛老も建前なしの本音で返してくれた。 こう言われると兼一としても反論できない。 自分の実力に昔よりは自信が持てるので色々と納得できるのだ。 誰が好き好んで赤カ○トぐらいの熊を瞬殺したり、完全武装のマフィアの一組織を完膚なきまでに壊滅させることが可能な力を持った人物を放置すると言うのか……と。 「……解りました。そちらの言い分ももっともですしボクとしても助かります。 正直、迎えが来るかどうかも定かではないですから……」 なんて弱気な発言をしている彼だが、実際に思っていたことは以下の通りである。 (教師か〜将来的にはなりたい職業だけど……教育実習では伝説の不良とか、 最強の女ったらしとか訳のわからない二つ名で呼ばれてたしな〜。 そう言えば、安永先生は相変わらず頭が光ってたけど元気だったな〜……っと、現実逃避もこれぐらいにしてと。 家の師匠方ならきっと迎えに来てくれ……いや、絶対に来るだろうけど) どうやら梁山泊の面々が迎えに来てくれることを疑ってはいないようだ。 兼一が頷いたので内心ホッとした近衛老は続けて仕事の内容について説明しだす。 「そうかそうか、引き受けてくれるかね。では、急で悪いんじゃが三日後から勤務と言うことで良いかな? 何、仕事の内容としては教育実習をしていた者がそのまま正教師になるんでその補佐、副担任をして欲しいんじゃ」 「えっ、三日後ですか? まあ、それは良いんですけど。 それまでは山に居れば良いんですか?」 と、また先ほどと同じ話の流れと常識から考えればおかしいだろうそれはと言うような発言をかます。 「ふぉっ!? い、いや。こちらで部屋を用意するから山篭りはやめてくれんかのう。 それと、明日には先ほど言った新任の教師と会ってもらいたいんじゃが良いかな?」 「ええ、良いですよ。それと、お言葉に甘えて部屋を借りさせていただきます」 どの道やる事なんて修行以外ないからな〜などと思いつつ頷く兼一。 まず真っ先に修行のことが思い浮かぶ時点で……いろいろと悲しいことは確かだろう。 「そうかそうか、それでは君用の部屋へは愛衣君に案内してもらうと良いぞい」 「はい。ではまた明日会いに来ます」 何時の間に用意したんだろうと言う疑問を飲み込んで、ペコリと頭を下げて、兼一と愛衣は部屋を後にした。 「……ふぃー、疲れたのー」 「隙が全くありませんでしたね……。あの年でどれだけの修羅場をくぐってきたのやら」 「それもありますが、学園長を見て驚かなかったことに驚きました」 ぐったりする近衛老、兼一のことを素直に賞賛するタカミチ、着眼点が微妙におかしい刀子。 「……あー刀子君? それは何かな、老人虐めか何かのう?」 「いえ、正直な感想を言ってみただけです」 きっと刀子さんにはいじめっ子属性があるのだろう。 美人の秘書さんにはデフォルトで使用されることが多い設定だ。 「…………ふんだ」 いじける近衛老……可愛らしさの欠片もない。 一方部屋を出た兼一たちだが、建物を出て案内されて歩くこと数分―― 「岬越寺師匠の、ちょびひげーーーー!!! ――突然兼一が吼えて愛衣がビックリしたとかなんとか。 どうやら、近衛老達の前では我慢していたらしい。 そんな、兼一青年に幸あれ。 そのころ、梁山泊では……。 「……皆の衆、よく集まってくれた。 では、梁山泊豪傑会議を始めるとするかのう」 豪傑達による人知を越えた話し合いが始められていた。 「今回の議題は、我らが史上最強の弟子が何処ぞに行ってしまった件についてなんじゃが……」 「そのことについては私から状況を説明しましょう」 所々包帯が垣間見れる岬越寺が立ち上がってボードに何事か書き始める。 「と言うよりも、原因は全部秋雨どんにあるね」 ズズゥーっとお茶を飲みながら突っ込む剣星。 内心では、蓮華の機嫌がメチャクチャ悪いね、どうしてくれるよ秋雨どん!などと思っている。 最近ではマスタークラスにまで達している蓮華のやつ当たりから逃げるのに、ちょっと本気な剣星の本音である。 「ちっ、久しぶりに兼一の面を見れると思って急いで帰ってきたって言うのによぉ!」 缶ビールを一気に飲み干すと、逆鬼は缶を握り潰した。 彼は兼一が消えた時、久しぶりの大きな仕事が入っていたので出かけていたのだ。 仕事が終わるといそいそと帰ってきたあたり彼も兼一を大事に思っているのが伺える。 「あぱぱ、ほのかも心配してたよ!」 白浜ほのか、兼一の妹でオセロでなら梁山泊入りも夢ではない少女。 将来の夢は「お兄ちゃんのお嫁さん!」と言う兄泣かせな発言をしてはばからない。 五年前は中学生でありキサラや兼一に恋する少女泉優香ととある同盟を組んでいたのだが、 数年で母親と同じぐらいの大きさになりキサラと泉が『裏切り者!』と言いながら肩を落としたのは彼女達の秘密である。 備考:谷本夏とは兼一以上に兄弟っぽい。 備考の備考:谷本夏はソレを否定している。 「いや、だからそれは……まあ私にも責任の一端はあ――「責任なんてどうでも良い。さっさと……あの機械を直……せ」 ――しぐれ……刀は下ろそうね、刀は」 危ないから、と言いながら冷や汗だらだらで刀をつまんで下ろす岬越寺。 普段なら余裕で相対できるのだが、原因が自分にあるためかあまり強くでれないのだ。 加えて、今のしぐれの殺気は人体に影響を及ぼすほど凶悪だったことを記載する。 「大体、アレを直したとしても同じ結果が出るとは限らな……へぶし!」 「あーー誰かウワサしてるよーーー」 話している途中で岬越寺がいきなりくしゃみをする。 アパチャイがそれに対して、何時か聞いたことがあるような発言をした。 「あ〜〜、みんな。兼一君についてはどうやら心配要らないようだ。 なにせ…………私の影口を叩くくらいだからねーー!!」 「おお、秋雨君のそれは的中率百ぱーせんとだからのう。 こりゃ兼ちゃんの心配は無用じゃな」 「けっ、俺は最初から兼一の奴がこんぐらいでくたばるたー思ってなかったぜ」 「その割にはそわそわしすぎね逆鬼」 ギュピーンと目を光らせながらどきっぱりと言い切る岬越寺。 梁山泊の方々も納得していることからかなり信憑性が高いようだ。 「……秋雨」 「ん? 何かなしぐれ」 「ボクも……兼一がボクのことを言ったらわかるようになり……たい」 珍しく頬を染め、視線を横に向けながらしぐれがそんなことを言う。 先ほどまでの殺気が嘘のようだ。 「おおっ! しぐれどんのベストショットね! これは高く売れるよ!」 珍しいしぐれの態度に興奮したのか、剣星がカシャカシャとカメラ小僧の如くシャッターをきる。 「こ、こればっかりは私でも教えられる類のものではないんだが……」 「……ちっ、まし〜んの事といい、つかえんやつ……だ」 流石に岬越寺でも、第六感的なものを教えろと言われても無理があったようである。 が、その後にしぐれがボソッと言った台詞がクールな彼に火をつけた。 「ほぉ、それは聞き捨てならないなーーー!! 一週間、いや……五日だ! 五日でアレよりもグレードアップした作品を見せよう!」 そう言って岬越寺が勢い良く部屋を出て行く。 「おおー。秋雨が燃えてたよ」 「ふむ、今日は珍しいもののおんぱれ〜どじゃのう」 「どうでも良いけどよ、今日も美羽のやつはサークルの合宿だかでいないんだろ? 誰が飯作るんだ? 昨日みたいに酒のつまみだけってのは流石に勘弁だぜ」 「しょうがないね。今日は良いものが見れたから特別においちゃんが作ってあげるね」 実は中華料理の達人である剣星が名乗りを上げる。 ……何時もはHな本を読む時間が惜しいのでやらないのだが。 そして、 「はい、かいさーん。夕飯の時間には居間に集合するように」 長老の締めの言葉で梁山泊豪傑会議は終結した。 その後、各自食事の時間まで思い思いに行動しているのだが、しぐれ一人が屋根で空を見つめており。 「……兼一早く…………帰って来い」 流れ星を見つけてそうつぶやいたとさ。 つづく