注意1:この作品の弓さんはアーチャーではないです。

 注意2:これはfateもしとは一切関わりがありません。

 注意3:これは電波による二次被害作品です。

     fateもしを書いていて本編で使用不可な電波がきたため別の作品として誕生しました。

 
 以上を踏まえた上で読んでやってもよいという奇特なかたは下へどうぞです。





    











 



 

        それは有り得たかもしれない物語 そのさんじゅうさん



 side by ランサー


 くそがっ!

 あの腑抜けの似非神父め!

 何が緊急事態だからさっさと帰ってこい、だ!

 せっかく満足のいく殺し合いがやれていたっていうのに。

 そんな事を考えいてたせいかさっきの戦闘を思い出す。

 今回もアイツの正体を看破できなかった。
 
 カラドボルグにブリューナグ、俺の関係者にあんな奴はいなかった筈だ。

 疑問はさらに増えたが戦い自体は十分楽しめるモノだった。

 俺が英霊なんぞになってから、いや生前の戦いを入れてもトップ3に入るほどの楽しさ。


 今回の聖杯戦争は正直粒ぞろいだ。

 少女の姿でありながらその力は化物染みたセイバー。

 おそらく誰もが最強と称するだろうアーチャー。

 真名をあっさり喋りやがったカタナ使いのアサシン。
 
 マスターが家の神父以上にアレだったが早さと力を兼ね備えたライダー。

 シングルアクションでAランクの魔術を連発してくるキャスター。

 そして、真名も何もかもが全く予想できないイレギュラーであるバトラー。

 マスターがいきなり変わったりそのマスターが腑抜けだったりしたが中々どうして、

 楽しいじゃないか。

 今回現界して一番気分がいい夜だ。

 だっていうのに、


 「って訳だからよ。今俺は気分が良いんだ。

  何処の誰かは知らんが見逃してやるからさっさと消えろ!」


 ヒュン!


 キン!


 俺の好意に返されたのは数本の短剣。

 付近からは俺が知らないサーヴァントの気配。

 ひょっとするとあの執事が言っていた九人目か?


 「ちっ! 馬鹿マスターが急かすんでな、とっとと殺らせてもらうぜ」


 そう宣言し――全力で右に飛ぶ。

 
 ゴウッ!


 そして、さっきまでいた地点を通り過ぎる影。


 「カカッ! よもやよもや、手負いの獣に避けられるとは思わんかったわ」


 一体誰だよ? この俺に不意打ちよろしく背後から一撃くれやがった奴は? 

 そんなことを考えながらゆっくりと後ろを振り向けば……あん?

 ライダーのマスターだったガキだと?

 それにしちゃあ、雰囲気やら言葉使いやらが違いすぎる。
 

 「おいおい、ライダーをあの執事にとられたからって他のサーヴァントでも見つけてきたのか?」


 「そういうわけではないんじゃがな。

  まあよい、死に損ないじゃが何かの役には立つじゃろうて」


 んだと?

 死に損ないとは言ってくれるな。

 しかし、さっきからうっとおしく短剣を投げてきやがるサーヴァントは何だ?

 正面きって戦ってこないって事はアサシンか?

 また飛んできた短剣を左手に持った槍で叩き落としながら考える。
 

 「はあ、どうでもいいことだな。

  じゃあなガキ、恨むんなら間抜けな自分を恨めよ」


 そう言って怪我のせいか、何時もより随分遅い速度で踏み込み槍を突き出す。

 
 「阿呆が……。ハサン!」

 
 俺の槍が届く前にガキが叫ぶ。


 「心得ている――――妄想心音(ザバーニーヤ)!」


 ハサンとか言う奴の言葉を聞き終える前に予備動作無しで前方に跳躍する。

 瞬間に感じるおぞましい気配、おそらくこれが奴の宝具だろう。

 宝具は対人用だったのかレンジが狭かったらしく俺の身体に異常は無い。

 にしても、楽しくない戦いだな。

 これならセイバーと連戦してたほうが万倍マシだ。

 そう心の中で溜息をつきながら構える。

 だがまあ、楽しくは無いがちっとはマジでやらないとキツイか。 



 side by ハサン


 私の宝具、妄想心音(ザバーニーヤ)

 今まで魔力をもって防がれたことはあった。

 だが発動するまでのタイムラグで避けられたことなどある筈が無い。

 なぜなら私が宝具を使用するときは必殺の間合いでもって仕掛けるからだ。

 それをあの槍兵は避けた。


 「……速いな。どうする魔術師殿?

  今の手負いのランサーでも私では手に余るかも知れぬ」


 そう、暗殺者が正面切って戦うなど下策。

 影からひっそりと相手の油断を突いて一瞬で殺すことが私達の戦い方。


 「そうじゃのう……地道にいくとするか。

  ランサーの魔力は底を尽きかけておるし、何より体調も万全ではない」


 確かに……だが、それなら先程の動きはどういうことだ?

 
 「おいおい、そんな相談してて良いのかよ?
  
  よそ見してると……一瞬で死ぬぜ!」


 怒号と共に青の槍兵が神速で迫る。

 それを、


 「カカッ! 刻死蟲よ!」


 「ぬっ!」


 魔術師殿の影より出でた黒き蟲が迎え撃つ。

 アレがただの蟲ではないことは先刻承知。

 ランサーもその尋常でない気配に気づいてか間合いを離す。

 それを追う蟲。

 あわやランサーが蟲に取り付かれると言う所で。

 ランサーがランサーである理由を私は知ることになった。

 
 「はあぁぁーーーー!」


 裂帛の気合で槍兵が突きを放つ。

 その速さは片腕だというのに私の動体視力を超え、蟲を確実に貫いていく。 

 瞬く程の間に無数にいた蟲が全て消え去っていた。


 「カカカ! 蟲ではお主の相手にならんか……。

  困ったのう。アレを使うしかないか……未だ御しきれておらんというのに」
 

 「まだやるのか? いい加減俺も面倒になってきたんだが……」

 
 「そう言うでない。お主が強いからこそコレを見ることが出来るのじゃて」


 その言葉を言い切った瞬間、魔術師殿の影が盛り上がる。


 「馬鹿の一つ覚えでまた蟲でも出すきか?

  時間の無駄だぜ!」


 再びランサーが魔術師殿を貫かんと迫る。

 だが――

 
 「■■■■■■■ーーーーーー!!!」


 ――それを遮るように巨大な何かが影より生じ咆哮を上げる。

 
 「なっ!? テメエはアー……」


 ズシャッ!!


 「ガァーーー!」

 
 不快な音と共に巨大な剣が槍兵の左腕を押し潰す。

 まさかコンナモノを隠していたとは。

 私は自分を呼び出した存在に対して初めて恐怖した。



 side by ランサー


 「ぬ、やり過ぎじゃ馬鹿者が。

  これではランサーが使い物にならんではないか」


 ……あ?

 このガキは何を言ってやがる?

 いや、今はそれよりも。


 「……くっ!

  ど、どう言うことだ!?

  …………なんで、ソイツが……?」


 「カカ。お主がソレを知る必要は有るまい?

  どうせ役に立たんのならさっさとワシに喰われるがよい」


 喰うだと?

 訳の解らんことをほざきやがる!


 「魔術師殿、手負いの獣は危険だ」


 「うむ、解っておる。ヘラクレスよ……殺せ」


 ガキの言葉に巨人は微動だにしない。

 
 「ぬ、やはりまだ御し切れんか……流石はギリシャ最大の英雄と言ったところかのう」


 「へっ! どうやらアーチャーは使いものにならんらしいな」


 「……死に損ないのお主よりは役に立つと思うが?」


 言ってくれるぜ!

 だが、そうは言っても限界が近いな……。

 ちくしょうが!

 アイツともう一度戦いたかったぜ!


 「おい、ガキ」


 「……ガキ、ガキと五月蝿い。

  ワシはなりこそ孫の身体じゃが精神は別物じゃよ」


 そういうことかよ、ガキも気の毒だな。

 だが、そんなことは関係ない。


 「…………死ね」


 「何じゃと?」


 「死ねって言ったんだよ!」


 俺は即座に相棒たるゲイ・ボルクを足で"持つ"。


 「――――突き穿つ(ゲイ)――――」


 狙うのはもちろんアーチャー。

 ガキを狙えば勝ちだろうが俺的に論外、アサシンでは役不足。


 「!? 殺れ! ハサン! ヘラクレス!」


 はっ! 今更焦っても遅い。


 「むっ! 妄想――」

  
 「■■■■ーーー!!!」
 

 アサシンとアーチャーが動くがコレも遅い。

 それにしても、この槍であのすかした執事をぶっ殺す予定だったのによ。

 全く……ついてないな。


 「――――死翔の槍(ボルク)――――!」


 「――心音!」


 俺が蹴り出した槍は寸分たがわずアーチャーの心臓を貫く。

 それと同時に俺の心臓も何かに握りつぶされたのが解る。

 視界が狭まり、世界が色を失くしていく。 

 
 「ぬ、まさかヘラクレス殺しを成し得るとは……」


 耳も聞こえなくなってきたか。

 まあいい。

 こんなもんだろ。

 心残りは有るがまあまあ楽しめた。
 
 
 そして、俺が最後に見たのは……振り下ろされる鉄塊だった。


 

 
 続く……のか?

 

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