注意1:この作品の弓さんはアーチャーではないです。

 注意2:これはfateもしとは一切関わりがありません。

 注意3:これは電波による二次被害作品です。

     fateもしを書いていて本編で使用不可な電波がきたため別の作品として誕生しました。

 
 以上を踏まえた上で読んでやってもよいという奇特なかたは下へどうぞです。





    











 



 

        それは有り得たかもしれない物語 そのさんじゅうご



 side by 士郎


 「ふむ、我ながら中々良く出来たな」


 バトラーが自画自賛しながらタルト・ショコラを咀嚼する。

 む、確かに美味い。

 デザートやお菓子関係は専門外だがこれ程とは……。

 少し闘争心が湧いてきた。

 
 「ほう、流石は我のフェイカーだな褒めて遣わそう」


 英雄王も褒めてるぞ、ってライダーさんの方を見れません。

 だって石にされそうだから。

 
 「バトラーは誰の物でもありません、ましてや貴女等の物では……」


 「……この蛇が。どうやら今一度首を刎ねられ死にたいらしいな」


 一触即発の場面がこれで何度目だ?

 もうそろそろ胃に穴が開くぞ?

 
 「そ、それよりバトラー、柳洞寺はどうだったの?」


 ナイスだ遠坂!

 ……はて?

 何か忘れてる気がするぞ?


 「キャスターとアサシンは既にやられていたようだ」
 

 「えっ!? 嘘でしょ……」


 バトラーの発言に驚きの声を上げたのはイリヤだった。


 「どうしたのよイリヤ? そんなに驚くこと?」


 「だって、その二人は私の中に来てないのよ……?」


 は? 

 何でイリヤの中にキャスターとアサシンが来るんだ?


 「ふん、ならば自ずと答えは知れよう?

  そこの小娘の他に聖杯がいたということだ」

 
 金ピカが視線をバトラーから外さずにそう告げる。

 だが、その視線は恋する乙女などという生易しいものではない。

 猛禽が獲物を狙う目、それが一番妥当な例えだろう。

 ただ、その視線を受けてなお、のほほんと茶を淹れているコイツにちょっと憧れた。

 
 「イリヤの他に聖杯、つまりイリヤは聖杯ってことかしら?」


 遠坂が金ピカの発言をしっかりと理解して確認の問いをする。

 流石は遠坂だな。


 「……ええそうよ。私はアインツベルンに今回の聖杯として造られたの」


 何だって……?

 造られた?
 
 
 「ん? そう言えばそこの女も聖杯の器であった筈だが?」


 オレの混乱に拍車をかけるように金ピカが桜を見て不思議そうに呟く。

 むむ、そう言う表情"だけ"を見れば普通っぽいんだが。


 「……私の方はバトラーさんが何とかしてくれましたから」

 
 「ほう」


 感心したように声を出し再びバトラーを見る金ピカ。

 先程よりも視線に篭る熱の量が上がっている。

 
 「アレはほぼ完全にそこの娘と融合していた筈だが……。

  まあいい、余興は減ったが貴様の力の一端を知れたことで良しとしてやる」 


 えー、何故にそんなに王様ですか?

 ここまで来ると逆に感心するぞ。


 「ふう、サーヴァントが減ったのに問題が増えるなんて冗談もいいところね」


 「ああ、ランサーも結局倒せなかったしな」


 ふーん、ランサーね。

 アイツはセイバーが言うには生き残る事に特化しているらしいからな。

 幾らバトラーでもそう簡単には倒せないか……ん?


 「ちょっと待てバトラー。お前ランサーと戦ったのか?」


 「そうだが、それがどうかしたか?」


 「それを早く言いなさいよ! 全く、セイバーと二人がかりでも倒せなかったの?」


 そうそう、セイバーとこいつのコンビの強さはアーチャー戦で証明されてるからな。

 幾らランサーでも倒せるだろ。

 ……って、セイバー!?


 「おい、セイバーはどうしたんだよ?」

 
 居ないぞおい。


 「そう言えば見てませんね。大方お腹が減って動けないのでは?」

 
 ライダー、お前がセイバーをどう言う目で見てたかが良く解るよ。


 「セイバーならまだ柳洞寺ではないのか?

  私は凛に呼ばれたから戻ってきたが彼女はソレの範疇外だったからな」


 遠坂の持ったベル?を指差しながら言外に"置いてきた"と言いながらお茶を飲む執事。


 「なあバト――「ええ、そうですね。

  貴方がいきなり消えて私がどんな思いをしたか……思い知らせてあげましょうか?」

  ――セ、セイバー!?」


 オレのセリフを遮り極上な微笑みで現れたセイバーさん。

 その額にありありと浮かぶ青筋はなんでせう。
 
 
 「ん、お帰りセイバー」


 「……はー、ただいま戻りました……ってアーチャー!?
  
  何故貴公がここにいる!?」


 溜息をついたかと思ったらいきなり金ピカに食って掛かるセイバー。


 「落ち着いたらどうだ騎士王?

  尤も、理性がその胸と同等に乏しい貴様には不可能なことか?」


 「……よくぞ言ったな英雄王よ。現世での生、今宵限りと知れ」


 おうい! セイバーさんがキレてますよ!?

 バトラー何とかしろー!


 「セイバー、ここに君用のタルト・ショコラがあるのだが?」


 「ふう、アーチャー。今回は見逃して上げましょう」


 威厳たっぷりに金ピカに告げるが、その表情で台無しな気がする。

 それを見て金ピカは立ち上がり、


 「ふん、騎士王ともあろう者が餌付けされているとは嘆かわしい。

  ……さて、我は帰る。

  フェイ……バトラー、貴様が真に傅くべきは誰なのかよく考えておくのだな」


 「ギルガメッシュ、私の主たらんとするならば相応のものを見せてもらう事になるぞ?」


 何時もは飄々としている顔に、鷹の目を伴った鋭い表情をのせて金ピカに問うバトラー。

 両者の間を凄まじい殺気に似た何かが飛び交い、部屋の重圧が増す。

 ライダーの時以上のそれに背筋が凍りつきそうだ……。

 
 「覚えておこう、だが……貴様自らの意思で我に跪かせて見せよう」


 そう言って返す瞳に絶対者の光を灯して厳かに立ち去っていく。

 何て言うか、最後まで王様……もとい女王様って感じだったな。

 等としみじみと思っていたら、

 
 「バトラー、もう一つ頂けますか?」


 「では秘蔵の一品を出すとするか」


 「あっ、私にも一つ頂戴」

 
 「あー私もー!」


 「すみませんバトラーさん、私にも一つお願いします」


 「私も」


 「リズ、もう少し長めに話しなさい。
  
  出番が無くなるわよ? あっ、私にも一つ」


 リズさんとセラさん、あんた等何時の間に?

 あー、何て言うか一気に緊迫した雰囲気が消し飛んだな。

 まあいっか。

 それより皆が美味しそうに食べてるのにオレも興味がある。

 
 「バトラー、オレにも頼むよ」


 「ああ、もう無い」
 

 ……悲しくなんてきっとない。

 ああ、そうさ。

 悲しくなんてないやいコンチクショウ!

 何故か夜空のお星様になって微笑んでいる切嗣に内心でそう叫んだ。



 side by 言峰


 「ギルガメッシュ、一体何処へ行っていた?」

 
 十年来である我がサーヴァントに問いかける。

 
 「ふん、我が何処へ行こうと……いや、バトラーの所へ行っていた」


 私がマーボーをずずいと差し出そうとすると素直に答えてきた。

 これほどの料理を理解できないとは不幸なことだ。

 まあ、そのことは良い。

 問題なのは、


 「……ランサーがやられた」


 「ほう、バトラーと戦った後にでも襲われたか?」


 「その通りだ。相手は間桐慎二……あの少年だ」


 尤も、その中身はあの醜悪なご老体だが。

 
 「クー・フーリンともあろう者が落ちたものだな」


 「そう言うな、あの執事との戦いで消耗した後にサーヴァント二体はきつかったのだろう」


 ギルガメッシュが私の言に笑みを消し、考え込む。


 「待て、言峰。そのサーヴァントとは何者だ?」


 「一人はアサシンだ。あの戦い方は間違い無いだろう。

  ……もう一人はおそらくヘラクレスだ」


 「何だと? 馬鹿を言え。アレは我が剣で完全に消し飛んだ筈だ」


 ああ、その点がおかしい。

 アレは一体何だったのか?

 片目であり限界寸前だったランサーを通してでは完全には見ることができなかった。


 「恐らくだが、間桐慎二は聖杯だ。故にその中身と繋がっている可能性がある」


 そして、聖杯に注がれたヘラクレスと言う存在を一時的に使役していたのだろう。


 「アレと、か? だが通常の人間の精神ではアレに耐えられるとは思えんが……」

 
 「いや、あの少年は器として用いられているだけだろう。

  アレと繋がっているのはその体の内に潜んだ醜悪な蟲だ」


 蟲という単語にギルガメッシュが嫌そうな顔をする。
 
 この英霊はその不遜な態度と裏腹に蟲が苦手なのだ。
 
 以前、夏の時分に蝉が飛んできただけで宝具を展開したほどだからな。
 
 
 「それで? 今後の予定は何かあるのか?」


 蟲から離れようとギルガメッシュが話題を変えてくる。

 今少し虐めても構わんのだが後の報復が危険なので自重する。


 「さて? このような展開は私も予測していなかったのでね。

  流れに任せるとしよう。

  それに……どの道お前が最後には勝つのだろう?」


 「ふん、解っているではないか。

  たとえどれ程の相手だろうと全て踏み潰していくだけだ」


 ……流石は英雄王か。 

 だが……その驕りが足元をすくわなければ良いがな。

 その顔に猛獣の如き笑みを張り付かせた我がサーヴァントを眺めつつ、

 グラスに紅いワインを注ぎながら此度の聖杯戦争を思う。

 衛宮士郎がどう戦うのか。

 凛が勝ち残れるのか、ということぐらいしか楽しむ要素が無いと思っていたが……。

 愉しめそうだ。

 窓から覗く月を眺めながらゆっくりとワインを喉に通す。 
 




 続く……のか?



 

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