注意1:この作品の弓さんはアーチャーではないです。

 注意2:これはfateもしとは一切関わりがありません。

 注意3:これは電波による二次被害作品です。

     fateもしを書いていて本編で使用不可な電波がきたため別の作品として誕生しました。

 
 以上を踏まえた上で読んでやってもよいという奇特なかたは下へどうぞです。





    











 



 

        それは有り得たかもしれない物語 そのよんじゅう



 side by セイバー


 イリヤスフィールから聞かされた話によって、まるで金槌で殴られたような衝撃が私の頭を突き抜ける。
 

 「……では、この地に具現する聖杯は私が望むものではない、と?」

 
 ……いや、願いが叶う事はないと薄々気づいていた。

 ただ、心の何処かで未だそれを望んでいたことに衝撃があったのだ。
 

 「その通りよ、貴女は見てないから解らないでしょうけどね。

  間桐慎二が使っていた影は……アンリ・マユ。

  大聖杯と言う卵の中で孵る時を待つこの世全ての悪よ。

  あれに望んだ願いは屈折して叶えられる……そうね、偽りの願望機ってところかしら?」


 偽りの願望機。

 ならばキリツグが前回聖杯を破壊させたのは裏切りではない?

 だが、その結果としてこの地で数百人もの死傷者を生んだのだ。  

 ……心が波立つ。

 王に成ったときに切り捨てた筈の心に痛みが芽生える。


 ……しかし疑問もある。
 
 何故それを私だけに言うのか?

 あの場で、バトラーやリンがいる話し合いの場で言えば良かったことではないか。

 そうすれば恐らく大聖杯とやらが原因だと結びつける事が出来る。

 そのことを白き少女に尋ねる。


 「……リンは解らないけどバトラーはその事にはきっと気づいてる。

  多分あの英霊は時がくれば一人で行く気なのよ。

  だから大聖杯のことについては言わなかったの、彼はそのことを詳しくは知らないでしょうから」


 「それでは答えになっていない。

  あの場でそのことを言えばバトラーは一人で行く事は出来なくなる」


 お節介と言っても過言ではない程の元マスターであるシロウ。

 魔術師としては優しすぎるバトラーのマスター、リン。

 ……それと、一応主人思いであろうライダー。

 もちろん私も全力でそれを阻止しよう。

 バトラーが一人で行こうとするならば最低この四人をどうにかしなければならなくなる。

  
 「……無理ね。シロウやリンではそもそも英霊と戦うには力不足。

  ライダーとセイバーは魔力の供給を断たれればじり貧よ?

  彼が本気で一人でいこうとしたら止めることは出来ないわ」


 「それは……」


 ぐうの音もでない。

 今の状態でさえ彼を止める事など出来はしない。
 
 バトラーが一人で行こうとしたなら絶対に阻止は……出来ない。

 無力感が私を包む。

 戦う事すら出来ないのなら、私は何のために彼のサーヴァントとして存在するのだろうか……。


 「だがそれには穴があるな。

  そもそも私が一人で行くというのは君の考えだろう?」


 と、そこで突然背後から彼の声がした。


 「バ、バトラー!?

  何時からそこに居たのよ!?
 
  盗み聞きなんて紳士のすることじゃないわよ!?」


 「イリヤスフィール、君が何か隠していた事はマルッと何処までもお見通しだ。

  私を欺きたかったら、そうだな……何処ぞの奇術師にでも弟子入りしたらどうだ?」
 

 イリヤスフィールの三段疑問文にもいささかも動じずに彼はのたまう。

 しかし、奇術師に弟子入りすればバトラーを欺けるのだろうか?

 彼を騙そうとするなら……いたずら好きの老人なら出来るかもしれない。
 

 「では、一人で行く気はないのですね?」


 「もちろんだ。私一人で出来る事など高が知れているからな。

  まあ、相手がアンリ・マユでなければ私一人で何とかなったんだが……」


 アンリ・マユとはそこまで厄介な存在なのだろうか?

 彼の発言からはあの英雄王よりも厄介だと言っているように思える。

 私は"あの"英雄王を思い浮かべながらアレ以上に厄介だろう存在を想像してみる。

 ……うぁ。

 …………あ、甘いものでも食べて寝ましょう!


 「さて、長年の疑問も解消した。

  もう一度作戦会議をする前にお茶でもどうかな?」


 む、それは良い考えです。

 私は『ちょこたると』とやらが食べたいです。


 「あら? リンにすぐに知らせなくて良いの?

  職務怠慢はいただけないわよ」


 「それなら心配はない。
 
  リンなら己の力で大聖杯に行き着く」


 「そうかしら?
 
  リンって結構抜けてるからサクラとかシロウの助言で気づくんじゃない?」


 ……リン、少し貴女が不憫に思えてきました。

 ですが、今はかろりーとやらを摂取する方が先決です!


 「では、道場へ向かおう。

  ライダーがすでに準備をしてくれている筈だ」


 ……ちょっと待って下さい。

 今何と言いましたか?

 
 「バト――」

 
 私が疑問の声を上げようとするが、それを突然の声に遮られる。


 「バトラー、遅いですよ。もう此方の仕度は整いました」


 「そうか? では私もすぐに用意しよう」


 そう言って連れ立って歩いていくバトラーとライダー。

 ……はっ!?

 私は何を呆けているのですか!?

 本の少し出遅れたが"彼"を追いかけて開いている手にそっと手を繋ぐ事ぐらいは許されるだろう。

 イリヤスフィールの言によれば、後数日で聖杯戦争が終わる。


 その時、私は答えを出せるのだろうか?
 
 

 side by 言峰


 十年前と同様にこの地に膨大な魔力が満ちるのを肌に感じる。

 ふむ、あと僅かで終演の鐘がなるか。

 長いようで短かった五度目の聖杯戦争。

 此度はどんな結末を迎えるやら……。
 

 「さて……ご老体もそろそろ動き出す。
  
  聖杯もじきに現れるが……どうする、ギルガメッシュ?」


 「ふん、今回は確か寺に出現するのだったな?

  ならば、我はそこであの男を待つとしよう」


 私の問いかけにソファで寛いでいた英雄王は尊大に答えた。
 
 その顔は笑みで彩られている、尤もそれは猛獣の類だが……。

 それにしても珍しい事だ。
 
 この最強であろう英霊がここまで固執するとは……。

 確か、バトラーだったか?

 イレギュラーなクラスでありその存在自体も中々のものらしいが。

 ふむ、一度ぐらいは見ておきたいものだな。

 あの存在はどう言うわけか遠見などでは見れず全く持って詳細が解らんしな。
 

 「言峰、我は聖杯にも貴様の拘る雑種にも興味は無い。

  ……だがアレは我の獲物だ。よもや横から掠め取ろうなどとは考えていないだろうな?」


 ……全く、独占欲の塊か?

 殺気を放つのを止めろ。

 マーボーが不味くなる。

 
 「ではバトラーとやらはお前に任せるぞ?

  私はその間に下に行き、アンリ・マユの誕生を祝福するとしよう」


 「下……だと? 

  ……今回は通常の聖杯ではなく大聖杯とやらが具現すると言うのか?」

 
 通常時は頭の回転が速くて助かるんだがな。

 どうも何かに執着するとキレがなくなるのがこの英霊の欠点か。


 「その可能性の方が高い。それにアンリ・マユが誕生するのなら大聖杯の方が妥当だろう?」


 10年前、私の心臓の代わりとなった呪いの大本。

 ほんの僅かに具現しただけでアレ程の災害をもたらしたのだ。
 
 もしも、この世全ての悪が顕現したならば……私はかつてない至福の時を迎えれるのではなかろうか?

 再び己の思考の内に入り悦に浸っている我がサーヴァントを横目に、

 おそらく私も悦に浸っていることだろう。


 
 side by ハサン


 魔術師殿が未だ己の失策に気づかず私にシンジ殿を任せて眠りについてから数刻が経ち、

 ベッドで死んだように眠っていたシンジ殿が目を覚ました。
 

 「起きても大丈夫か、シンジ殿?」


 「……ああハサンか、何か身体が軽いんだ。

  それに行かなきゃならないって頭の中で何かが言ってる」


 行かなければならない、か。

 おそらく魔術師殿が言っていた柳洞寺の地下にある大聖杯とやらか。

 
 「何処へ行くのだ、シンジ殿?」


 「ん? ……えっと? 何処に行かなきゃならないんだっけ?

  ……ああ、思い出した。柳洞寺の地下だ。

  そこにアレがある……アレって何だっけ?」

 
 記憶の混乱、それに聖杯との繋がりの影響が濃くなってきているのか?

 ……おそらく大聖杯のある場所で彼等と最後の戦闘が行われるだろう。

 バトラー、セイバー、ライダーの三体の英霊。

 エミヤシロウ、トオサカリンの二人の魔術師。

 果たして私にシンジ殿を守りきれるか?

 正面からの戦闘ではセイバーはもちろんの事、ライダーにすら圧倒されるだろう。

 バトラーに至っては予測すらつかない。

 だが、負けることは確実だろう。

 ……この時ほど、アサシンと言うクラスであることを恨んだ事は無い。

 もしも自分が三騎士と呼ばれるクラスだったならシンジ殿を守りきれるだろうに。

 ……いや、詮無いことか。

 私がアサシンであることはどうしようもないことだ。

 ならばこの身を持ってどうにかするより他に手は無い。

 いざとなればこの身を捨てて一体でも多く道連れにすれば良い。

 
 「はは、もうすぐなんだ。
  
  もうすぐアレが産まれる、そうすれば僕の望みも叶う」


 「ほう、シンジ殿は何をお望みか?」


 これには少し興味を覚えた。

 私から見たシンジ殿は欲があるようで何処か達観している人間だったからだ。

 望んでもそれが手に入らないと……。


 「僕の望み? 取るに足らないことだよ。

  僕は……居場所が欲しい。

  僕だけの、僕だけのための居場所が……」


 その言葉を発して、再びシンジ殿は眠りについた。

 私に、柳洞寺に連れて行くようにと言付けて。

 シンジ殿の言から予測すれば後数日と経たずに今回の聖杯戦争は終わるだろう。

 その時……叶うことならシンジ殿と共に居たいものだ。

 シンジ殿の軽い身体を抱え、空に浮かぶ月を眺めつつそう願った。

 





 続く……のか?

 


戻る              それは有り得たかもしれない物語 そのよんじゅってんご  side by 士郎  現在道場前、オレと遠坂と桜は円陣を組んで作戦会議をしている。  「で、どうする?」    「どうするって、あの状況で私は入りたくないわね……」  「私もです。あの中に入ったら、私きっと泣いちゃいますよ?」  ……ああ、きっとオレも耐え切れずに逃げ出すよ。  そう思いながら道場の扉の隙間から中を覗き見る。  そこではバトラーが膝にイリヤを座らせてノホホンと茶を飲んでいる姿と。    フルアーマーダブルセイバーとなった騎士王の姿、  それと対峙するギリシャ神話における支配する女の意味を持つライダーの姿があった。  ほんわかと絶対零度のコラボレーション。  ……あの輪の中に入ったら体調を思いっきり崩しそうだ。  セイバーとライダーだけなら何時ものようにバトラーの両側を陣取って丸く収まるところを、  イリヤと言うアクセントが加わったために地獄絵図直前と言った具合になっている。  この道場も切嗣との思い出の場所なんだから壊すなよー。  「でも、あのレアチーズケーキは捨てがたいのよ!」  「そうです先輩! あの苺のタルトには並々ならぬ美味しさが感じられるんです!」  いや、もう夜中だよ?  今から食べたら、ほら。  太るよ?  と、声には絶対に出さないで突っ込んでみた。  ……以前これでえらい目にあったからな〜。  「ぬあ〜セイバー! それは私が目をつけていたマス・ダマンドよ!」  「ああぁ、ライダ〜……よくも私のムース・グラッセを…………後でオシオキです」  はは、食べ物の恨みは怖いってホントなんですね。  またチラリと中を覗き見る。  するとバトラーと確りと目が合ってニヤリと笑われた。  まあ、これだけ大声で叫んでいればバレバレか。  ってセイバーとライダーは気づいてないっぽい。  ……良いのかそれで、一応サーヴァントなんだろ?  と、考えているとバトラーが口をパクパクさせている。  まさか読唇術をしろと!?  などと思ったら直接耳に届いた。    『冷蔵庫の一番奥にケーキを幾つかいれておいた。     茶ぐらいは自分で淹れれるな?』  だとさ。  良かった、このままここで延々と愚痴られていたら溜まったものじゃない。  バトラーに目で礼を言い二人を連れて台所へ向かう。  ……それにしても、ほんと芸が多彩だよな。  だけど今のはとても役にたちそうだ。  今度教えてもらおう。  居間に座って茶を淹れながらぼんやりと考えてみた。  「士郎、不味い。淹れなおし」  「マジですか!?」  「先輩、これはちょっと……」  ま、負けないぞ!  泣いたりするもんか!  そもそも紅茶の淹れ方なんて詳しく知らないやい!  助けてバトラー――、  『頑張れ』  ――応援じゃなくてアドバイスをプリーズ!  結局。    この後、二人が納得するまで何度も茶を淹れました。  ……ああ、お茶っ葉が勿体無い。    続くかも……。  

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